3 応急対策的事項
(1) 共通的事項
* 別冊3参照
① 自衛消防組織の編成・・・(拡充)規則3①
○ 自衛消防組織の編成及び人員の構成を具体的に記載する。
○ 必要な人的体制について、災害想定・目標設定により導き出される規模・能力(1.(3)③による)が確保されるようにする。
○ 地震時等、活動できる人数が制約されたときの実施事項の優先度を明確に記載する。
○ 一の防火対象物に管理権原者の異なる複数の事業所が自衛消防組織を編成する場合は、全体としての自衛消防組織を組織し、その編成及び人員について記載する。
○ 大きな用途区分毎(物品販売店舗と事務所等)や棟・区画の区分毎に地区隊を編成する場合は、その構成を記載する。
○ 本部隊・地区隊別に体制・任務を明確化し記載する。
○ 各班の任務内容を明確化し記載する。
○ 活動時における管理権原者、防火・防災管理者、自衛消防組織の指揮者、
地区隊長の権限及び任務を明確に記載する。
○ 防災センターの位置付け、体制、指揮管理体制について明確化し記載する。
② 自衛消防組織の運用体制・・・(拡充)
○ 昼夜・営業時間内外において必要な体制が確保されるように平常時の体制、非常時の対応について具体化し記載する。
○ 防災センターと自衛消防組織の構成員の情報伝達、指揮命令系統について具体化し記載する
○ 応急活動のための従業員の出社、自宅待機、退社等に係る手順について記載する。
③ 自衛消防組織の装備・・・(拡充)
○ 自衛消防組織の有する装備等の保管場所、種類・数量をについて記載する。
○ 装備等の維持管理体制について明確に記載する。
(例) 管理責任者を定め、定期的な点検の結果を整備記録に記載する。
④ 指揮命令体系・・・(拡充)
○ 緊急時の指揮命令体系(防災センター・自衛消防本部の設置、構成員、権限等)について記載する。
(例) 自衛消防本部は、管理権原者(又は指定された者)の判断により設置する。
自衛消防組織の指揮者が不在となる場合に備えて複数の代行者を定め、自衛消防活動に必要な権限を付与するとともに、代行の優先順位を定める。
○ 活動を開始する時期(タイミング)を明確化し記載する。
(例) 自衛消防本部は、自衛消防組織の指揮者の判断により活動を開始する。
○ 自衛消防の業務の一部を委託する場合の指揮命令系統を明確に記載する。
(2) 火災に特有の内容
① 火災発見時の措置・・・(従前内容)規則3①
○ 火災発見時の活動要領を具体的に記載する(発見手段・手順)。
② 通報連絡・・・規則3①踏襲
○ 消防機関や関係機関との通報連絡の活動要領を具体的に記載する。
★ マスコミ等に対して広報対応を行う場合の体制等を盛り込む。
③ 消火活動・・・(従前内容)規則3①
○ 消火活動の活動要領を具体的に記載する。__
④ 避難誘導・・・(従前内容)規則3①
○ 避難誘導の活動要領を具体的に記載する。
○ 当該建物の特徴に応じた避難の基本方針を明確に記載する(水平避難の可否、全館避難・部分避難の選択、避難方向の選択)。
○ エレベーターの使用制限及びその管理方法等について記載する。
⑤ 安全防護措置・・・(従前内容)規則3①
○ 安全防護措置(防火戸・シャッター、排煙口等の操作、危険物・漏洩ガス等の応急防護措置、活動上支障となる物件等の除去等)の活動要領を具体的に記載する。
⑥ 救出救護・・・(従前内容)規則3①
○ 救出救護(逃げ遅れ者の救出、負傷者の救護等)の活動要領を具体的に記載する。
⑦ 消防機関への情報提供、案内・・・(従前内容)規則3①
○ 現着する消防機関への情報提供や案内の活動要領を具体的に記載する。
○ 消防機関と自衛消防組織との指揮調整方法、消防機関指揮本部の設置場所(防災センター等)を記載する。
(3) 地震に特有の内容
① 発生時の初期対応・・・(新規)
○ 危険場所からの待避、パニック防止のための放送、出火防止措置、自衛消防組織の活動開始等の手順を記載する。(緊急地震速報を活用している場合にはその対応を具体的に記載する(短時間であり明確な手順化・シーケンス化が必要)。)
○ 地震発生時には身の安全を第一とし、大きな揺れがおさまった後、組織的な活動を開始することを記載する。
○ パニック防止のために冷静な行動を促す放送を防災センター等から行うこととし、地震発生時の館内放送の文例、事前の周知や訓練方法等を記載する。
○ 防災センターにおいて、気象庁の地震情報、津波情報、緊急地震速報等の情報収集を行うことを記載する。
○ 一定震度以上の地震が発生した場合には、管理権原者(又は指定された者の指示がなくても自衛消防本部を設置し、活動を開始するよう記載する。このとき、関係者の情報共有の方法についても明確にする。
○ 関係者・関係機関への連絡手段・手順を明確化する。
○ 防火対象物関係者・関係行政機関等への連絡網を作成し記載する。
○ (通報の重複を避けるため)火災発生時や要救助者発生時の消防機関への通報を誰が行うか記載する。
★ 緊急地震速報を活用する場合は、その初期対応フロー等について記載する。
② 発生時の被害状況の確認・・・(新規)
○ 建物全体の被害情報の確認手段・情報収集、情報集約手順について具体的に記載する。
(例) 総合操作盤、自動火災報知設備、監視カメラ、設備モニタ、従業員等からの速報により把握する。
自衛消防組織の指揮者は、各地区隊の通報連絡班からの情報により、被害情報を確認する。
自衛消防組織の指揮者は、収集した情報を必要に応じて在館者に伝達する。
○ 必要情報の整理・分析手順について具体的に記載する
(例) 負傷者数、閉じこめ者数、火災等二次災害の有無、構造等損壊等。
○ 被害の内容、程度に応じた対応優先順位の判断方法等を記載する。
(例) 人命優先、避難手段確保優先、機能維持優先等
③ 救出救護・・・(新規)
○ 落下物、転倒物や飛散ガラス等による救出救護について記載する。
○ 建物損壊等による閉じこめ救助等の資機材、活動要領等について記載する。
(例) チェーンソー等危険が伴う救助資機材は、取扱いに習熟した者が行うこと。
○ 救護場所の設置について記載する。
○ 応急救護班の行う応急手当、医療機関への搬送方法等について記載する。
④ エレベーター停止等への対応・・・(新規)
○ エレベーターが停止した際の対応策について記載する。
(例) エレベーター会社との連絡体制、復旧対応について記載する。
エレベーター会社の安全確認までは使用停止させることを記載する。
エレベーター停止を想定した被災状況の確認や現場駆け付けの方法を記載する。
閉じ込め者が発生した場合の救出方法について記載する。
非常開錠キーの使用方法・救出手順(正常な停止位置からのずれによる対応の違い)、技術者・専門知識の確保等について記載する。
○ エレベーター会社の行うエレベーター閉じ込め時の救出講習等に参加する。
⑤ 地震による出火への対応・・・(新規)
○ 迅速な火災対応を記載する(通常火災への対応の準用)。
○ 同時多発的出火への対応方法を明確化し記載する。
(例) 大きな揺れがおさまった後、電源・燃料等の遮断を行う。
⑥ 避難施設・建物損壊への対応・・・(新規)
○ 避難施設の損壊を想定した代替経路の選定手順等について記載する。
○ 建物の損壊状況を点検し、応急措置、使用制限等について記載する。
○ 消防用設備等の点検を行い、異常の有無を確認し対処するよう記載する。
(例) スプリンクラー設備等の損壊を想定した火災時の対応方法の明確化等について記載する。
区画損壊等に対応した応急措置(関連区画への立入禁止措置等)について記載する。
⑦ インフラ等の機能不全への対応・・・(新規)
○ 停電への対応(非常電源の確保、携帯用照明器具等の確保、再通電に備えた対応)について記載する。
○ 断水(消火用水等の確保、建物全体が保有している水量の把握・確保、漏水対応等)への対応について記載する。
○ 通信障害への対応(緊急連絡方法の複線化、無線手段の確保等)について記載する。
○ 交通障害への対応(一定期間の孤立化に備えた活動体制の整備、代替的移動手段の確保等)について記載する。
⑧ 避難誘導・・・(新規)
○ 避難誘導の活動要領を具体的に記載する。
○ 建物の耐震性、周辺地域の危険性、収容人員の人数、移動障害の有無、帰宅困難者の数等を踏まえて、地震規模ごとに避難するか在館するか(避難する場合の方法(全館一斉、全館逐次、部分等)を含む)の判断基準を定める。
○ 防火対象物内の危険箇所をあらかじめ周知させ、具体的な避難方法を記載する。
○ 避難又は在館時の避難先又は一次待避の場所、誘導方法、誘導開始時期、誘導実施者を定める。
(例) 一時待避場所(安全区画)指定し記載する。近隣区画への移動の手順を記載する。
(自力避難困難者への対応について具体化する。)
自力避難困難者については、支援体制が確立するまでの介助要員を指定し記載する。
○ 誘導時に逃げ遅れの有無をどのように確認するかを記載する。
○ 避難誘導路の事前の確保(確認)方法を記載する。
(例) 障害物の除去、照明の確保
⑨ 災害復旧等の活動との調整・・・(新規)
○ 災害復旧作業に伴う二次災害発生防止の措置を記載する。
(例) 火気使用設備、電気器具等からの危険発生要因の排除
危険物品の安全な場所への移管
★ 被災後の建物の使用に係る手続き(使用の中止・継続・再開等に係る判断手順等)について記載する。
★ 応急活動終了後の従業員の体制(帰宅等に係る判断手順等)について記載する。
★ 応急活動終了後に備蓄物資等を転用する場合の手順等について記載する(同上)。
★ 従業員・在館者等で帰宅困難者が多数発生している場合の対応等について記載する。
★ 当該防火対象物に係る応急活動の終了・縮小後において近隣の応急活動に自衛消防組織等が従事する場合の対応等について記載する。
⑩ 警戒宣言への対応・・・(従前内容)大規模地震対策特別措置法
○ 警戒宣言が出された場合の対応を記載する。
(4) その他の災害についての対応
○ 大規模事故等であって、在館者の迅速かつ円滑な避難等が必要な場合について、火災・地震時の避難誘導活動に準じて対応することを記載する。