まとめ 2

11 大規模地震対応消防計画の作成・・・詳しくはこちらに

 大規模地震対応消防計画とは
2 大規模地震対応消防計画に係る手続き等
3 大規模地震対応消防計画に定める内容
4 災害想定に基づいた大規模地震対応消防計画の作成
5 大規模地震対応消防計画作成の一般的な手順
Ⅱ 具体的な大規模地震対応消防計画の構成
1 総則的事項:計画の目的、適用範囲、管理権原
2 予防的事項
3 応急対策的事項
4 教育訓連

 

(3) 防災管理者の選任と届出(法第36条において準用する第8条、令第47条)
 
地震の災害による被害の軽減のため、管理権原者は、防災管理者(新設)を選任し、届け出ると共に消防計画(防災管理編)の作成、届出、当該消防計画に基づく防災管理上必要な業務を実施させることこが義務付けられた。

 


 防災管理者の資格は、次の1、2の要件を両方満たすものである。

 

 

1 防災管理上必要な業務を遂行できる管理的又監督的な地位にある者。
2  必要な知識技能を有する者。
  ・甲種防火管理者の資格を有する者が、防災管理新規講習(5時間)を受講した場合(規則第51条の7第2項)
  ・防火・防災管理新規講習(14時間)を受講した者。
  ・消防職員で管理監督的な職に1年以上の経験のある者。
  ・消防団員で管理監督的な職に3年以上の経験のある者。


 ただし、法36条第2項により、防災管理者は、防火管理業務を併せて行うこととなったことから、防災管理者と防火管理者は同一人でなければならず、委託する場合は防火・防災管理業務を合わせて行わなければならない。

 


 また、甲種防火対象物の小規模テナント部分の特例により乙種防火管理者の資格で防火管理者を選任されていた部分について防災管理業務の対象となる場合は、防火・防災管理新規講習(14時間)を受講しなければならない。

 

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(4)消防計画の作成と届出(令第48条、規則第51条の8)
地震等のサイン外による被害軽減のために、管理権原者に指示を受けて、防災管理者が、消防計画を作成し、消防長へ届け出るこ とが義務付けられた。


消防計画に盛り込むべき項目は、規則第51条の8の規定及び「消防計画作成ガイドライン」等に例示された事項を防火対象物の実態に合わせて取り入れることが必要であるが、特徴的なものは、次のとおりである。


<特徴>
・地震発生時の被害の想定及びその対策を盛り込むこと。
☆ 火災については、建築構造、消防設備等においてその極限が織り込まれている。
☆ 地震については、建築物全体で同時多発的にその影響が生じることから、その被害を事前に想定し対策(業務内容、実施体制)を検討することが不可欠である。


・訓練を検証して消防計画を見直すことを明文化すること。     
・PDCAサイクルによりベターな体制を構築していくこと。
・NBCR災害については、関係機関への通報及び避難誘導の実施を求めること。
       

なお法第36条より防災管理者と防火管理者が同一人であることから防災管理に係る消防計画と防火管理に係る消防計画は、一本化することが望ましい。

 

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5) 自衛消防組織の設置と届出(法第8条の2の5)
  災害時の応急対策を円滑に行い、防火対象物の利用者の安全を確保するため、多数も者の出入りする大規模防火対象物について、自衛消防隊の設置が義務づけられた。


 ア 自衛消防組織の編成
・自衛消防組織の全体の指揮をするものとして総括管理者(自衛消防隊長)を配置する。(令第4条の2の8、規則第4条の2の13)
 総括管理者の資格は、自衛消防業務講習受講者(新設)等の法定資格者でなければならない。


・要員の配置については、基本的な自衛消防業務(1初期消火活動、2情報の収集、伝達、消防設備等の監視、3在館者の避難誘導、4在館者の救出救護)について最低2名以上の要員が必要である。


・自衛消防隊は、本部隊と地区隊とで編成するが、内部組織を編成する場合は、本部隊の基本的な自衛消防業務(1〜4)の各班の班長(総括者)には、自衛消防業務講習させなければならない。


 このことは、教育の一環として消防計画に記載しなければならない。


イ 自営消防組織の設置に伴う消防長等へ届出が義務付けられた。(法第8条の2の5 規則第4条の2の15)
ウ 自衛消防組織未設置の際の設置命令が新設された。
エ 防火対象物の使用禁止命令の要件等に自衛消防隊組織設置命令違反等が追加された。

 

 

 

6)防火管理点検の実施と報告(法第36条において準用する第8条の2の2)
防災管理業務の実施が義務となる対象物全てが防災管理点検制度の対象となり、管理権原者は、防災管理点検資格者(新設)の点検を年1回受け、その結果を消防長等に報告することが義務付けられた。(防火対象物点検の対象外でも義務となることがある。)
 


<主な点検事項>
・防災管理者選任の届出及び防災管理に係る消防計画作成の届出
・自衛消防組織設置の届出
・防災管理に係る消防計画に基づく防災管理業務が適切に実施されていること。
・共同防災管理の協議事項の届出  
・避難施設等が適切に管理されていること。
ただし基本的にはソフト面に限定されている。  


<防災管理点検資格者>
 以下の者で、登録機関が実施する講習(8時間)を受講したもの。
・防火対象物点検者として3年以上の実務経験を有する者
・市町村の消防職員で、防災管理に関する業務について1年以上の実務経験を有する者。
・防災管理者として3年以上の実務経験を有する者。

 

 


<防災基準点検済証>(規則第51条の12第2項において準用する第4条の2の4第1項)
・防火対象物点検・防災管理点検の両方が義務となる防火対象物は、両方の表示要件を満たしている場合のみ、防火・防災基準点検済証として1枚のみ表示することができる。 

 

(7)共同防災管理協議会の設置と協議事項の届出(法36条において準用する第8条の2、規則第51条の11において準用する第4条の2)  


防災管理業務の実施が義務となるが防火対象物で管理権原が分かれているものは、防災管理上必要な業務について協議して定め、消防長等へ届出することが義務付けられた。


<共同防災管理協議事項>
・共同防災管理協議会の設置運用に関すること。
・共同防災管理協議会の代表者の選任に関すること。
・総括防災管理者の選任及び付与すべき権限に関すること。

(防災管理者となる資格が必要)
・全体の消防計画の作成及びその計画に基づく避難の訓練の実施に関すること。
・避難口等の避難施設の維持管理。案内に関すること。
・地震等の災害が発生した場合の通報訓練。避難訓練に関すること。
・消防隊に対する必要な情報提供。誘導に関すること。
・その他の共同防災管理に関し必要な事項。


※共同防火管理協議会と共同防災管理協議会は、同じ組織等(共同防火・防災管理協議会、総括防火・防災管理者等)とすることが望ましい


※共同防災管理の全体の消防計画については、共同防火管理全体の消防計画と合わせて一つの計画と刷ることが望ましい。
 なおこの場合、協議事項の届け出様式は、共同防災管理と2枚となるが、中身の協議事項は一つでよい。
 また被害想定の反映等についても指導することが必要である。 

 

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1 大規模地震対応消防計画とは
 

1 大規模地震対応消防計画とは
 消防法においては、防火対象物における人的な面での予防体制の基本として、防火・防災管理制度が設けられている。これは、火災・災害の発生を防止し、被害を軽減するために、必要最小限度の義務を防火対象物の所有者・管理者・占有者等に課しているものである。

 防火・防災管理制度においては、管理について権原を有する者(管理権原者)、すなわち防火対象物の管理行為を法律、契約又は慣習上当然行うべき者(一般には防火対象物の所有者、管理者、占有者が該当する)が、一定の資格を有する防火・防災管理者を選任して、管理権原者は指示して消防計画を作成させて防火・防災管理上必要な業務を行わせることとしている(法第8条及び法第36条。防災管理者の選任が義務付けられた建築物等では防災管理者が防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務を行うこととされている。)。

 また、必要とされる防火・防災管理業務の内容は、防火対象物毎に異なるため画一的な法令基準に基づいて行わせることはせず、個々の防火対象物ごとの防火・防災上の危険要因に応じて作成した消防計画に基づいて実施することが必要であります。これは、物的な安全対策(消防用設備等など)については具体の措置内容が技術基準で確保されているのと対照的である。


このように、消防計画は、当該防火対象物における防火・防災管理の基本方針として位置付けられるものである。

2 大規模地震対応消防計画に係る手続き等

1) 使用開始前における届出管理権原者は、防火対象物の使用開始前に、防火・防災管理者を選任し、遅滞なくその旨を所轄消防機関に届け出ることとされている。


 また、防火・防災管理者は、管理権原者の指示を受けて、防火対象物の使用開始前に、消防計画を作成し、その旨を所轄消防機関に届け出ることとなっている。なお、これらの届出は、使用開始後における防火・防災管理者の変更、消防計画の変更の際にも必要となる。防火対象物においては、権原変更の際の手続きや定期的な把握、計画の見直し等について規程類を整備しておくことが重要である。

(2) 使用開始後の点検報告
 多人数を収容する一定の用途、構造の防火対象物の管理権原者に対しては、火災の予防・災害の被害の軽減に関する専門的な知識を有する者(防火対象物点検資格者・防災管理点検資格者)に、防火・防災管理上必要な業務等について定期点検を義務付け、その結果を消防機関に報告させ、これにより管理権原者による 防火対象物の管理業務の消防法令への適合を確保することとしている(法第8条の2の2、法第36条)。

 この点検は1年に1回行う必要があり、この結果点検対象事項が点検基準に適合
している場合に表示(点検表示)を行うことができる。また、一定期間(3年間)以上継続して消防法令の基準に適合している防火対象物については、一定期間(3年間)定期点検報告義務が免除される認定を受けることができるほか、その認定を受けた表示(認定表示)を行うことができる。

(3)消防機関の役割
 消防機関は、消防計画の作成にあたって指導助言を行い、防火・防災管理業務が法令又は届出を受けた消防計画に適合しているものであるかどうかを立入検査等により確認し、当該業務が法令の規定又は消防計画に従って行われるよう措置命令等を行うことができることとなっている。

 

3 大規模地震対応消防計画に定める内容
 大規模地震対応消防計画は、防火・防災管理の基本方針であり、応急活動上の訓練の実施、消防用設備等の点検・整備、火気の使用・取扱いに関する監督、避難・防火上必要な構造・設備の維持管理、収容人員の管理など、防火・防災管理業務を行う上で必要な事項を定めるものである。

4 災害想定に基づいた大規模地震対応消防計画の作成
 個々の防火対象物の状況に応じ社会通念上要求される防火・防災管理業務の実施を確保するためには、当該防火対象物における危険性を客観的に把握し、これに的確に対応することの出来る体制を整備することが必要となる。

 

 この社会通念上の要求レベルに相応するものとして、本ガイドラインの対象となる防火対象物においては、必要となる防火・防災管理業務を検討する上で考慮すべき危険性を包含するものとして、一定の規模の地震の発生を想定し、これに伴う被害態様をあらかじめ評価することによって、これに対する人命安全の確保や二次災害防止のために必要な活動内容を整理の上、これらに対処するための組織、人員、物資、資機材、活動要領等が確保されるように消防計画を作成することが必要である。


 これにより、地震以外の火災等の災害についても相応した対応を行うことが可能と考えられる。消防計画の作成上想定すべき地震の規模としては、当該防火対象物における最大規模のものを想定する必要がある。

 本ガイドラインにおいては、共通的に少なくともおおむね震度6強程度の地震は考慮することとし、さらに地域防災計画における想定地震災害の規模や、建築基準法の耐震設計の考え方における「存在期間中に遭遇する可能性がある最大級の地震規模」等も併せて考慮の上、適切な強さの地震を想定することとする。

 なお、具体的な被害態様や必要な対応行動の内容等の具体的想定手法については、防火・防災管理業務の多様性や、今後の技術的な発展を促進する観点から、一律な方法に限定するのではなく、防火対象物側の自主的な取組みに委ねることが適当と考えられる。

 しかしながら、対策を要する被害程度を過小評価することのないよう、また想定被害に応じた対応が不適切なものでないように、一定の合理性が確保されている客観的な手法によることが必要である。

 

5 消防計画作成の一般的な手順
(1) 防火対象物の状況の調査・分析
防火対象物の利用形態、建物形態、設備等の状況を調査し、その特徴等の分析を行う。 また、建物設計時の基本計画等を参考にすることが効果的・ 効率的である。


ア 利用形態の調査・分析
令別表用途、事業形態、在館者の人数、空間・時間分布の調査・分析を行う。また、特性ついて特定者であるとか、不特定者であるとか、また、ハンディキャップの有無等について調査・分析する。

 

イ 建物形態の調査・分析
 敷地配置、規模、階層、主要構造、主要区画、複数棟がある場合の接続形態−設備等の状況設置されている消防用設備等、防火設備(防火戸・シャッター)、非常照明、排煙設備、非常用エレベーター、非常用進入口、その他防火防災上活用可能な設備等(監視カメラ、汎用放送設備、通信設備、非常電源等)について調査・分析を行う。

 

ウ 事業形態毎の特徴の調査・分析
 劇場等:非常に多数の在館者、火気使用−百貨店等:多数の不特定の在館者、売場内の避難経路、バックヤードの存在、多数の従業員管理の困難性について調査・分析をおこなう。


例 旅館・ホテル等:夜間の対応の必要、火気使用等について調査・分析をおこなう。
例 病院・社会福祉施設:多数の自力避難困難者、休日夜間対応の必要
の有無等について調査・分析をおこなう。


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Ⅱ 具体的な消防計画の構成
大規模地震等に対応した消防計画の構成の標準的な例と記載上のポイントは以下のとおりである。なお、この例は管理権原が単一の場合の消防計画及び管理権原が複数の場合の全体の消防計画について記述したものであり、管理権原が複数の場合の個々の消防計画については、以下の内容のうち当該管理権原の部分に関する内容について記載することとなる。


これらの記載上のポイントについては消防計画に盛りこむことが必要な事項だけでなく、盛りこむことが推奨される事項も含まれているが、当該推奨事項を盛りこむかどうかの選択は防火対象物の判断に委ねられているものである。


(個別事項の解説については別冊4を参照。)
※ ○印:盛込むことが必要な事項
※ ★印:盛込むことが推奨される事項
※ (従前内容):現状の消防計画で記載されている内容を基本的に踏襲しているもの
※ (拡充):現状の消防計画で記載されている内容を基本的に拡充するもの
※ (新規):新たに消防計画に記載することとなる内容のもの

 

 

1 総則的事項:計画の目的、適用範囲、管理権原


(1) 計画の目的等に関する事項
①計画の目的・・・(従前内容)法8、法36
○ 地震、火災、その他の災害を対象に、その災害発生の防止と被害の軽減を目的としたものであることを記載する。


② 計画の適用範囲(場所・人)・・・(従前内容)法8、令2
○ 管理権原が分かれているかどうかに関わらず、建物全体(敷地を含む)を対象とした一体となった計画として作成し、管理権原が分かれている場合には個別の管理権原毎にもその役割・権原に応じて個別の計画を作成する。
○ 従業員・利用者全てを含め、在館者全てを対象として計画を作成する。


③ 管理権原の範囲・・・(従前内容)規則3③
○ 管理権原が分かれている場合、その権原・責任の範囲を明確に記載する(平常時の管理区分が明確でない場合や空間的な重複があるような場合にも防火・防災管理上の空白が生じないように防火・防災管理責任の範囲を明確化する。)。
○ 指定管理者制度、不動産信託制度、PFI、SPCのような管理形態での管理責任関係について明確に記載する。
○ 防火・防災管理業務の一部委託を行う場合の権原委任や管理責任関係について明確に記載する。
○ 管理責任状況の定期的な把握手段、変更時の計画変更手段について記載する。


④ PDCA(計画の見直しを着実に実施するための手順等)・・・(新規)
○ 定期的な検討、訓練による検証等を踏まえた継続的な計画の見直し・改善を着実に実施するための組織、手順を明確に記載する。
○ 消防計画を定期的に検討・見直しを行うことを明確に記載する。
○ 消防計画の記載事項の変更が生じた場合には見直しを行うことを記載する。
(例) 人事異動、事業所の組織変更、防火対象物の変更、類似した防火対象物からの火災事例が発生した場合等
○ 消防計画の適否を確認することも目的として訓練を実施し、実施結果の検証により消防計画の必要な見直しを行うことを記載する。
○ 消防計画を見直すための組織・手順について記載する。(例) 防災管理委員会(仮称)、防災管理協議会(仮称)による検討

(2) 防火・防災管理者等に関する事項・・・(拡充)
① 防火・防災管理者及びその権限、業務、防火・防災管理組織・・・(拡充)法8、法36、令3、令4、規則2の2
○ 防火・防災管理者が誰であるかを明確に記載する。
○ 管理権原が分かれている場合に統括防火・防災管理者との関係について明確に記載する。
○ 防火・防災管理者の委託を行っている場合にその委託関係及びその手続きを明確に記載する。
○ 防火・防災管理者に防火・防災管理業務上与えられている権限と行うべき業務を明確に記載する。
○ 防火・防災管理者を補完する組織(防火・防災管理委員会等)の構成(管理権原者、防火・防災管理者、自衛消防組織の指揮者、地区隊長等)、開催方法(時期)、審議内容について具体的に記載する。

 

2 予防的事項

 2 予防的事項
(1) 共通的事項
① 予防的活動に係る組織体制・・・(従前内容)規則3①
○ 防火担当責任者、火元責任者について、その任にあたる者、責任区分、業務内容を明確化する。


② チェック活動に係る組織体制・・・(従前内容)規則3①
○ 防火・防災管理者(及びその組織)による自主チェックの方法、実施計画について具体化する。__
○ 法第8条の2の2による防火対象物定期点検報告(法第36条による準用を含む)の対象となっている場合、その実施方法等について具体化する。
○ 消防用設備等の定期点検報告の実施方法等について具体化する。
○ その他防火・防災安全に係る点検等チェック体制について具体化する(連動シャッターの動作点検等)。


③ 記録に係る事項・・・(従前内容)法8の2の2、規則31の2
○ 防火・防災管理上必要な書類等について編冊した防火・防災管理維持台帳を作成し、整備・保管することを具体化しておく(具体的書類名、管理責任、管理場所等)。


④ 休日・夜間等の対応に係る事項・・・(従前内容)
○ 終日の利用状況を確認し、管理体制の空白がないようにする。


⑤ 工事中の安全対策に係る事項・・・(従前内容)規則3①
○ 建物の一部が工事等をしている場合の管理体制について明確化しておく(工事中の消防計画の作成等)。


⑥ 定員管理に係る事項・・・(従前内容)規則3①

○ 在館者の状況について常時確認し、必要に応じて制限を行うことについて、その責任主体・実施方法を明確化しておく。

(2) 火災に特有の内容
① 火気管理等出火防止対策・・・(従前内容)規則3①、一部火災予防条例
○ 火気使用設備の管理、喫煙制限等火気使用の制限について明確化する。
○ 臨時の火気使用に必要な手続き・安全措置等について明確化する。


② 危険物等の管理・・・(従前内容)
○ 危険物等の貯蔵、取扱い、種類・数量変更に必要な手続き・安全措置について明確化する。


③ 避難施設・防火上の構造等の管理・・・(従前内容)規則3①
○ 避難施設・防火設備等の管理についてその責任者・範囲・管理方法等について明確化する。

(3) 地震に特有の内容
① 建物等の耐震診断等・・・(新規)
○ 地震発生時の建築物・設備の安全性を確認するための耐震診断の実施その他必要な措置を行うこと等を記載する。
○ 災害想定・目標設定に応じた安全性が確保されていることを確認する(想定している地震のレベルと建物強度、耐震措置等に不整合等が生じていないか。)。
○ 平時において建築物・設備の地震に対する安全性を確認するための措置を行うことを記載する。


② 収容物等の転倒・移動・落下防止・・・(新規)
○ 収容物等の転倒・移動の防止、落下のおそれのある物品等への対応の実施について記載する。
○ 収容物等の転倒・移動の防止の実施に関し、責任主体、実施方策、維持点検方策について記載する。
○ 落下のおそれのある物品等への対応に関し、責任主体、実施方策、維持点
検方策について記載する。


③ 地域防災計画との調整・・・(新規)
○ 消防計画の作成・見直しの際の、火災に関する消防計画、地域防災計画、その他災害時の業務計画等との関係の整理・調整のための組織体制、整理・
調整の考え方を記載する。
(例) 当該建物が広域避難場所、災害医療拠点となっていたり、指定公共機関としての活動等を行う場合、当該活動についての地域防災計画・防災業務計画等における活動内容と消防計画の内容が整合しているかどうか計画作成時に確認し、定期に見直しを行う等


④ 地震の対応に特有の設備等の設置、物資の確保・・・(新規)
○ 地震災害時に最低限必要な物資等(自衛消防組織が使用する資機材、消耗品、食料等の物資)について、平時から確保しておくべき数量等(活動計画等から算定する)及び点検交換等がきちんと行われるようにチェック体制や更新期限等を記載する。
(例) 物資等の管理者を定め、管理記録を作成する。
★ 緊急地震速報を活用する場合の機器の導入や維持管理体制その他必要な事前準備等について明確に記載する

 

3 応急対策的事項
(1) 共通的事項
* 別冊3参照
① 自衛消防組織の編成・・・(拡充)規則3①
○ 自衛消防組織の編成及び人員の構成を具体的に記載する。
○ 必要な人的体制について、災害想定・目標設定により導き出される規模・能力(1.(3)③による)が確保されるようにする。
○ 地震時等、活動できる人数が制約されたときの実施事項の優先度を明確に記載する。
○ 一の防火対象物に管理権原者の異なる複数の事業所が自衛消防組織を編成する場合は、全体としての自衛消防組織を組織し、その編成及び人員について記載する。

○ 大きな用途区分毎(物品販売店舗と事務所等)や棟・区画の区分毎に地区隊を編成する場合は、その構成を記載する。
○ 本部隊・地区隊別に体制・任務を明確化し記載する。
○ 各班の任務内容を明確化し記載する。
○ 活動時における管理権原者、防火・防災管理者、自衛消防組織の指揮者、
地区隊長の権限及び任務を明確に記載する。
○ 防災センターの位置付け、体制、指揮管理体制について明確化し記載する。


② 自衛消防組織の運用体制・・・(拡充)
○ 昼夜・営業時間内外において必要な体制が確保されるように平常時の体制、非常時の対応について具体化し記載する。
○ 防災センターと自衛消防組織の構成員の情報伝達、指揮命令系統について具体化し記載する
○ 応急活動のための従業員の出社、自宅待機、退社等に係る手順について記載する。


③ 自衛消防組織の装備・・・(拡充)
○ 自衛消防組織の有する装備等の保管場所、種類・数量をについて記載する。
○ 装備等の維持管理体制について明確に記載する。
(例) 管理責任者を定め、定期的な点検の結果を整備記録に記載する。


④ 指揮命令体系・・・(拡充)
○ 緊急時の指揮命令体系(防災センター・自衛消防本部の設置、構成員、権限等)について記載する。
(例) 自衛消防本部は、管理権原者(又は指定された者)の判断により設置する。
自衛消防組織の指揮者が不在となる場合に備えて複数の代行者を定め、自衛消防活動に必要な権限を付与するとともに、代行の優先順位を定める。
○ 活動を開始する時期(タイミング)を明確化し記載する。
(例) 自衛消防本部は、自衛消防組織の指揮者の判断により活動を開始する。
○ 自衛消防の業務の一部を委託する場合の指揮命令系統を明確に記載する。

 


(2) 火災に特有の内容
① 火災発見時の措置・・・(従前内容)規則3①
○ 火災発見時の活動要領を具体的に記載する(発見手段・手順)。


② 通報連絡・・・規則3①踏襲
○ 消防機関や関係機関との通報連絡の活動要領を具体的に記載する。

★ マスコミ等に対して広報対応を行う場合の体制等を盛り込む。


③ 消火活動・・・(従前内容)規則3①
○ 消火活動の活動要領を具体的に記載する。__


④ 避難誘導・・・(従前内容)規則3①
○ 避難誘導の活動要領を具体的に記載する。
○ 当該建物の特徴に応じた避難の基本方針を明確に記載する(水平避難の可否、全館避難・部分避難の選択、避難方向の選択)。
○ エレベーターの使用制限及びその管理方法等について記載する。


⑤ 安全防護措置・・・(従前内容)規則3①
○ 安全防護措置(防火戸・シャッター、排煙口等の操作、危険物・漏洩ガス等の応急防護措置、活動上支障となる物件等の除去等)の活動要領を具体的に記載する。


⑥ 救出救護・・・(従前内容)規則3①
○ 救出救護(逃げ遅れ者の救出、負傷者の救護等)の活動要領を具体的に記載する。


⑦ 消防機関への情報提供、案内・・・(従前内容)規則3①
○ 現着する消防機関への情報提供や案内の活動要領を具体的に記載する。
○ 消防機関と自衛消防組織との指揮調整方法、消防機関指揮本部の設置場所(防災センター等)を記載する。

 

(3) 地震に特有の内容
① 発生時の初期対応・・・(新規)
○ 危険場所からの待避、パニック防止のための放送、出火防止措置、自衛消防組織の活動開始等の手順を記載する。(緊急地震速報を活用している場合にはその対応を具体的に記載する(短時間であり明確な手順化・シーケンス化が必要)。)
○ 地震発生時には身の安全を第一とし、大きな揺れがおさまった後、組織的な活動を開始することを記載する。
○ パニック防止のために冷静な行動を促す放送を防災センター等から行うこととし、地震発生時の館内放送の文例、事前の周知や訓練方法等を記載する。
○ 防災センターにおいて、気象庁の地震情報、津波情報、緊急地震速報等の情報収集を行うことを記載する。
○ 一定震度以上の地震が発生した場合には、管理権原者(又は指定された者の指示がなくても自衛消防本部を設置し、活動を開始するよう記載する。このとき、関係者の情報共有の方法についても明確にする。
○ 関係者・関係機関への連絡手段・手順を明確化する。
○ 防火対象物関係者・関係行政機関等への連絡網を作成し記載する。
○ (通報の重複を避けるため)火災発生時や要救助者発生時の消防機関への通報を誰が行うか記載する。
★ 緊急地震速報を活用する場合は、その初期対応フロー等について記載する。


② 発生時の被害状況の確認・・・(新規)
○ 建物全体の被害情報の確認手段・情報収集、情報集約手順について具体的に記載する。
(例) 総合操作盤、自動火災報知設備、監視カメラ、設備モニタ、従業員等からの速報により把握する。
自衛消防組織の指揮者は、各地区隊の通報連絡班からの情報により、被害情報を確認する。
自衛消防組織の指揮者は、収集した情報を必要に応じて在館者に伝達する。
○ 必要情報の整理・分析手順について具体的に記載する
(例) 負傷者数、閉じこめ者数、火災等二次災害の有無、構造等損壊等。
○ 被害の内容、程度に応じた対応優先順位の判断方法等を記載する。
(例) 人命優先、避難手段確保優先、機能維持優先等

 

③ 救出救護・・・(新規)
○ 落下物、転倒物や飛散ガラス等による救出救護について記載する。
○ 建物損壊等による閉じこめ救助等の資機材、活動要領等について記載する。
(例) チェーンソー等危険が伴う救助資機材は、取扱いに習熟した者が行うこと。
○ 救護場所の設置について記載する。
○ 応急救護班の行う応急手当、医療機関への搬送方法等について記載する。


④ エレベーター停止等への対応・・・(新規)
○ エレベーターが停止した際の対応策について記載する。
(例) エレベーター会社との連絡体制、復旧対応について記載する。
エレベーター会社の安全確認までは使用停止させることを記載する。
エレベーター停止を想定した被災状況の確認や現場駆け付けの方法を記載する。
閉じ込め者が発生した場合の救出方法について記載する。
非常開錠キーの使用方法・救出手順(正常な停止位置からのずれによる対応の違い)、技術者・専門知識の確保等について記載する。
○ エレベーター会社の行うエレベーター閉じ込め時の救出講習等に参加する。


⑤ 地震による出火への対応・・・(新規)
○ 迅速な火災対応を記載する(通常火災への対応の準用)。
○ 同時多発的出火への対応方法を明確化し記載する。
(例) 大きな揺れがおさまった後、電源・燃料等の遮断を行う。


⑥ 避難施設・建物損壊への対応・・・(新規)
○ 避難施設の損壊を想定した代替経路の選定手順等について記載する。
○ 建物の損壊状況を点検し、応急措置、使用制限等について記載する。
○ 消防用設備等の点検を行い、異常の有無を確認し対処するよう記載する。
(例) スプリンクラー設備等の損壊を想定した火災時の対応方法の明確化等について記載する。
区画損壊等に対応した応急措置(関連区画への立入禁止措置等)について記載する。


⑦ インフラ等の機能不全への対応・・・(新規)
○ 停電への対応(非常電源の確保、携帯用照明器具等の確保、再通電に備えた対応)について記載する。
○ 断水(消火用水等の確保、建物全体が保有している水量の把握・確保、漏水対応等)への対応について記載する。
○ 通信障害への対応(緊急連絡方法の複線化、無線手段の確保等)について記載する。
○ 交通障害への対応(一定期間の孤立化に備えた活動体制の整備、代替的移動手段の確保等)について記載する。


⑧ 避難誘導・・・(新規)
○ 避難誘導の活動要領を具体的に記載する。
○ 建物の耐震性、周辺地域の危険性、収容人員の人数、移動障害の有無、帰宅困難者の数等を踏まえて、地震規模ごとに避難するか在館するか(避難する場合の方法(全館一斉、全館逐次、部分等)を含む)の判断基準を定める。
○ 防火対象物内の危険箇所をあらかじめ周知させ、具体的な避難方法を記載する。
○ 避難又は在館時の避難先又は一次待避の場所、誘導方法、誘導開始時期、誘導実施者を定める。
(例) 一時待避場所(安全区画)指定し記載する。近隣区画への移動の手順を記載する。
(自力避難困難者への対応について具体化する。)
自力避難困難者については、支援体制が確立するまでの介助要員を指定し記載する。
○ 誘導時に逃げ遅れの有無をどのように確認するかを記載する。
○ 避難誘導路の事前の確保(確認)方法を記載する。
(例) 障害物の除去、照明の確保


⑨ 災害復旧等の活動との調整・・・(新規)
○ 災害復旧作業に伴う二次災害発生防止の措置を記載する。
(例) 火気使用設備、電気器具等からの危険発生要因の排除
危険物品の安全な場所への移管
★ 被災後の建物の使用に係る手続き(使用の中止・継続・再開等に係る判断手順等)について記載する。
★ 応急活動終了後の従業員の体制(帰宅等に係る判断手順等)について記載する。
★ 応急活動終了後に備蓄物資等を転用する場合の手順等について記載する(同上)。
★ 従業員・在館者等で帰宅困難者が多数発生している場合の対応等について記載する。
★ 当該防火対象物に係る応急活動の終了・縮小後において近隣の応急活動に自衛消防組織等が従事する場合の対応等について記載する。


⑩ 警戒宣言への対応・・・(従前内容)大規模地震対策特別措置法
○ 警戒宣言が出された場合の対応を記載する。
(4) その他の災害についての対応

 


○ 大規模事故等であって、在館者の迅速かつ円滑な避難等が必要な場合について、火災・地震時の避難誘導活動に準じて対応することを記載する。

 

4 教育訓練
(1) 従業者等の教育
① 管理権原者の教育・・・(拡充)
○ 管理権原者の普段からの教育・自己啓発等について記載する。
○ 防災講演等への定期的な参加を明確化し記載する。
○ 消防訓練には必ず参加することを明確化し記載する。
○ 防火・防災管理者、自衛消防組織の指揮者等と定期的な情報交換を行うことを明確化し記載する。


② 防火・防災管理者等の教育・・・(拡充)規則2の3
○ 防火・防災管理者の普段からの教育・自己啓発について記載する。
○ 防火・防災管理講習・再講習の受講について記載する。
○ 防火・防災に関する講習会等に定期的に参加することを明確化し記載する。


③ 自衛消防組織の構成員の教育・・・(拡充)法8の2の5
○ 自衛消防組織の構成員の中核メンバーに対する講習受講について記載する。
○ 受講義務のある中核メンバーを明確化する。
・ 自衛消防組織の指揮者・本部隊の各班長
・ 初期活動から従事する中核メンバー(初期の駆けつけ対応、機動的な地区隊への支援等を勘案し、延べ面積1万㎡につき1人以上。)
○ 自衛消防組織の構成員の技術取得・維持のための訓練等について記載する。
(例) 装備品等の習熟訓練サイクルを定め、訓練結果を記載する。
応急手当講習に積極的に参加し、当該講習修了者名を記載する。

 

④ 従業員の教育・・・(拡充)
○ 教育を受けた従業員教育担当者等による教育体制について記載する。
○ 従業員への地位・役割に応じた教育について記載する。
○ パートタイム従業者等の教育体制について記載する。
○ 防火・防災に関する啓発用資料を作成し配布することを記載する。


⑤ 従業員教育担当者への教育・・・(拡充)
○ 従業員教育担当者の教育(従業員教育担当者が取得すべき専門知識やその修得手段(講習受講等))について記載する。

 

(2) 訓練の実施
① 訓練の実施時期等・・・(拡充)規則3⑪
○ 訓練種別(総合・部分、火災・地震等)毎に時期、回数等を記載する。


② 訓練の実施手順・・・(拡充)規則3⑫
○ 防火対象物内部への周知や所轄消防機関への連絡について具体的な手順等を記載する。


③ 訓練の内容・方法・・・(拡充)
○ 訓練の実施方法を記載する。
○ 訓練結果等の記録について記載する。
○ 訓練規模(全体、部、想定)ごとに、時期、回数を記録する方法を明確にする。
○ 訓練の検証・定量的な評価方法の導入等について記載する。


④ 訓練結果の検討・・・(拡充)
○ 訓練結果を検討し、改善事項等の抽出・計画の見直し等を行うことを記載する(具体的な手順等を記載する。)。
○ 訓練結果の検討組織の構成者を明確にして記載する。

 

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発生時の初期対応

① 発生時の初期対応・・・(新規)
○ 危険場所からの待避、パニック防止のための放送、出火防止措置、自衛消防組織の活動開始等の手順を記載する。(緊急地震速報を活用している場合にはその対応を具体的に記載する(短時間であり明確な手順化・シーケンス化が必要)。)
○ 地震発生時には身の安全を第一とし、大きな揺れがおさまった後、組織的な活動を開始することを記載する。
○ パニック防止のために冷静な行動を促す放送を防災センター等から行うこととし、地震発生時の館内放送の文例、事前の周知や訓練方法等を記載する。
○ 防災センターにおいて、気象庁の地震情報、津波情報、緊急地震速報等の情報収集を行うことを記載する。
○ 一定震度以上の地震が発生した場合には、管理権原者(又は指定された者の指示がなくても自衛消防本部を設置し、活動を開始するよう記載する。このとき、関係者の情報共有の方法についても明確にする。
○ 関係者・関係機関への連絡手段・手順を明確化する。
○ 防火対象物関係者・関係行政機関等への連絡網を作成し記載する。
○ (通報の重複を避けるため)火災発生時や要救助者発生時の消防機関への通報を誰が行うか記載する。
★ 緊急地震速報を活用する場合は、その初期対応フロー等について記載する。


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消防法の改正概要
 大規模高層ビルや商業施設等につきましては、従前より防火管理者を定め防火管理業務を実施してきましたが、消防法の改正(平成19年6月)により、大地震発生時おける災害に対応できる防災管理者を定め、平成21年6月1日より防災管理業務も併せて行わせなければならなくなりました。これに伴い管理権原者には以下の項目について具体的に義務付けられました。

 

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