自衛消防隊の消火活動力の活用について

自衛消防隊は、ホースを延長して屋内消火栓による消火活動や可搬動力ポンプによる消火活動を行っております。 地震により多数の火災が発生し消防機関だけでは対応できない状況が発生します。


平常時おいて火災が発生し消防隊が火災現場に到着する時間は大体8分〜9分位と言われております。しかしながら大地震が発生して火災が多発し、又は色々な障害のため消防隊の火災現場への到着が遅れ、火災を放置すると約15分の経過で最盛期になり、20分を過ぎると隣の家に燃え移り、30分過ぎると約50m四方に燃え広がり、火面の長さは約200mになります。1時間後には約100m四方に燃え広がり、火面の長さも約400mにも広がります。

 消防隊が火災現場に到着すると、2口の放水口からホースを伸ばし放水をおこないます。1口の放水口から前面の燃えている場所に水をかけた場合は1口の放水口から消火できる火面の長さは約10mしか消火できません。1台の消防車からの放水は2口の放水で20mしか消火できません。1時間地震火災を消防隊が放置すると400m÷20m=20台となります。


 その他に火面の奥行を消火するため20台の消火活動中の消防車にプール、貯水池、河川および海などの水源から消火するための多量の水を送水する多数の消防車両が必要になってきます。 水源から消火活動中の消防車両に適切な水圧で補給送水するには200mごとに消防車を一台配置し、火災現場と水源の距離が長ければ長いほど補給送水する車両の台数か増加します。

 火面受け持ちごとの車両数の合計と各消火活動中の消防車へ水源から補給送水する消防車の台数の合計で必要な消防車が計算できます。阪神地震でなぜすぐ消火できなかったというと、全火面を包囲するだけの消防車台数の合計と消火活動中の消防車に水源から補給送水する車両数の合計が足りなかつたからです。 だから、北は北海道から南は九州までの全国の消防車が集まり消火したわけです。 このような状況になりますと消防機関だけでは絶対に対応できません。


したがって、自衛消防隊により地震火災の被害を最小限にくいとどめる初期消火がたいせつであります。 各事業所の自衛消防隊は事業所の初動対応が図られ、事業所の被害を最小限にとどめた後に自治防災組織及び自衛消防隊の可搬動力ポンプを活用して初期消火活動に当たることが必要になりす。 

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自衛消防隊に求められる地震特有災害の対応

自衛消防隊は、大規模・高層の建物等に勤務する人達で構成された組織で、大規模地震に対応するため設置された消防隊です。自衛消防隊は、大地震が発生した場合、まず身体の保護や火気の使用停止やパニックの防止を図ります。


在館者の避難誘導については、建築物等の被害状況を確認し、パニックが生じないよう慎重に誘導しなければなりません。
建築物内部の安全確保は、建築物の損壊等による混乱や停電、断水の発生を考慮した活動をしなければなりません。この場合、エレベーターの緊急停止による閉じ込め事案・消防用設備等や防火設備の損壊・防火戸が機能しない等の場合の応急対応が求められます。さらには、地震の揺れなどにより物が倒れて破損することが原因で火災が発生し、火災が色々なところから起こるといったような地震特有の災害への対応が求められ、火災の発生には迅速な初期消火が求められます。


自衛消防隊は、大地震に対応する一定の設備、資機材等を持ち、災害発生時において消火活動、消防機関等への通報連絡、建築物の利用者等の避難誘導、救出、救護活動などの初期活動を行わなければなりません。発災時にはこれらの対応が複数同時に求められるため普段からの訓練が重要になります。

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自衛消防隊と地域社会との連携の必要性について

地震は広域災害です。発生直後自社に被害がなくても、近隣で火災が発生し消防隊による有効な消火活動がなければ、風速にもよりますが1時間で約100メートルの延焼速度で四方に燃え広がるため、あっという間に自社が危険な状態に陥ります。この様な広域災害に対応し被害を最小限にくいとどめるには、運命共同体でもある近隣住民との協働活動が不可欠です。従って、事業所の自衛消防隊も地域の一員であることを自覚して、普段から地元の自治防災組織や消防団との良好な関係を築くことが大切です。


 また、それぞれの企業の特性を活用して地域に貢献できる事もあります。  先の阪神淡路大震災においても公の救援救護態勢が整うまで、地元各企業の自衛消防隊が活躍して住宅密集地域への延焼を阻止したり、避難場所として自社の土地・建物の提供、あるいは自社製品(食料や飲料水等)や重機等様々な物が提供されるなど被害の軽減に多大な貢献をしました。


「消防団の協力事業所の表示マーク制度」(消防団員に従業員が相当数入団するなど地域消防団活動に積極的に協力している事業所に表示証を交付する制度)が平成19年1月から発足しており、今回の法改正(平成21年6月)と併せて、広域災害に対応するため、会社は従業員だけではなく会社自体の積極的な参加が求められています。事業所の初動対応が図られた後に自衛消防隊組織を活用して地域と連携すること、地域だけではなく自社の被害を最小限にとどめるために必要なことです。従って、事業所が地域の自主防災組織や消防団と連携して行う消防訓練は非常に重要なことであり、企業の危機管理として考慮した消防計画の作成をなければならないことと思います。

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